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管理組合にはコミュニティが必要!

1)コミュニティのチカラ!

マンション内であまり面識のない人に対して、「子供の声や犬の鳴き声がうるさいから静かにさせて下さい」と注意を言ったとします。これに至るまでに、発言をする人も相当我慢しているケースもございます。そのこと自体やその場の対応により、その後の関係が大きく異なるケースも多いようです。 マンション内であまり面識のない人に対して、「子供の声や犬の鳴き声がうるさいから静かにさせて下さい」と注意を言ったとします。これに至るまでに、発言をする人も相当我慢しているケースもございます。そのこと自体やその場の対応により、その後の関係が大きく異なるケースも多いようです。
指摘をした方は、子供の親や犬の飼い主に対してよい印象は当然ありません。また、注意をされた側も、その対応によって嫌な隣人等との印象が先行します。「苦手・嫌な人・うるさい人」等と嫌悪感だけが強く残ります。当然に、忠告を素直に受け取らないでしょう。

これは、相手の事を知らないと、相手の気持ちになって考える事ができず、自分の感情だけが全面に出てくるからです。このまま放置すると、疑心暗鬼がお互いに芽生えて、相手はますます嫌な存在になります。
よく相談を受けた事例でも多くございましたが、この様な場合には「その後の子供の泣き声や犬の鳴き声等は、余計にうるさく聞こえてくる。」ものです。

しかし、そのような関係となる前に、マンションの住民同士で常に挨拶が行われていて、上下階も、お互いの事情について理解している相手であったとします。
例えば、「上階の家族は共働きで、子供(美穂ちゃん)を保育園に迎えにいって帰宅当初等や食事の支度ができるまで子供が落ち着かないので、泣いて騒いだり、走りまわってはいるが、20分ほどで落ち着くこと。」・「上階の奥さんは、気を使って厚めのカーペットを購入して子供(美穂ちゃん)の走り回る部分に敷いていること。」や、「下階の家族の夫は午後1時位に仕事場から帰宅して午後6時ごろがもうすこし寝ていたい大切な時間帯であること。」等のお互いの生活環境を理解していたとします。
するとお互いの立場を理解して相手を思いやった(相手の顔を浮べながら)対処をする様になることも多いのです。
そうなると人間は不思議なもので、「○○さんの犬なら仕方ないなあ」・「○○さんの子供(美穂ちゃん)が、ごはんが食べたくてお母さんの食事の準備が出来るまでの間辛くて泣いている、可哀そうだ・・・」と犬の鳴き声や子供の泣き声等もあまり不快に感じなくなるようです。そして、事情が分かれば許せる範囲(受忍限度)が広がるといわれております。

これは実話ですが、私の知人が住んでいるマンションで上下階の居住者で理事会の役員を担当していた時期があったそうです。上階の役員は、子供も3人男の子で本当に元気でした。理事会の雑談の時のことです。「上階の副理事が下階の理事長にいつもご迷惑をおかけしています。子供がうるさくて申し訳ございません・・・・との温和な雰囲気の中でお詫びをしていました。その理事長の回答は、笑いながら大丈夫です・・と耳を塞ぐ真似をしました。」理事会の一同で、一斉に笑いがでました。それは、理事会メンバーは、状況を考えて相当うるさいのであろうと推測してのことです。
お互い様ではありますが、下階の理事長のユウモアーを交えた表現とその人間性にも感服しました。そして、現場で聞いていた私の知人は、下手な漫才より遥かにおもしろかったと感動的に話してくれました。


(管理組合のコミュニティ)

マンション内部のコミュニティは、管理組合にとって、なくてはならない要素です。 管理組合では「全員が何の不満もなく100%賛成!」というのは、絶対にあり得ないでしょう。
  
仮に総会決議で全員賛成だったとしても、組合員の利害は各々違いますから、実情は70~80%賛成がよいところだと思います。
つまり、合意形成とは、各々が全体の事や困っている人の事を知って、思いやるからこそ成立している部分が多いのです。そして、20~30%の人は、我慢していることになります。
合意とは、お互いに「まあ仕方ないなあ。」と一定の譲歩をしながら形成されていくものです。

管理組合の運営者(理事・役員)も参加者(区分所有者・場合により賃借人)も、この仕組みを忘れてはなりません。理事・役員でなくなれば、・・・ではいけません。
そして、我慢している方々にも配慮して対応することは、とても大切なことです。
しかし、そこにマンション内部のコミュニティが芽生えていないと、合意形成が難しくなり、その機能が著しく低下するからです。そのようなマンション内部のコミュニティ形成が未熟なマンション内に問題や課題があっても、容易には解決に至らないことでしょう。これでは快適なマンションライフを送れません。


希に、カリスマ的な理事長がすべてを巧みに解決してくれることもあるかも知れませんが、その場合でも自分の都合に合わせて、カリスマ理事が就任して自分の立場に立って解決してくれるようなことは通常は殆どないことです。
   
そして、カリスマ理事長がいたにしても、その人がマンションを引っ越したり、理事を降りた場合等に「管理組合のことは、その理事長以外は誰も知らない!」と大変な状況となります。
管理組合はこれまでのスキルも蓄積されずに管理組合が機能不全に陥ることがございます。しかしこれは、共有財産の管理を皆(区分所有者全員)で関心をもって行うべき時に、業務委託もしていないのに、他人に任せきりにした報いであると考えます。
このケースで管理組合が、自主管理・自主的管理である場合には、相当危険性をはらんでいることも多くあるようです。
皆様も、「調べて、ビックリ・知って、ビックリ。」と、ならないようにしましょう!


2)どうすれば出来るか?

コミュニティには、「あいさつ」「無理はしない」「キーポイントを探す」の3つが大切な要素だと思います。    
「あいさつ」は全ての基本です。何事も「あいさつ」から始まりますから、とりあえずやってみようよ、という事です。
某放送局のご近所○○力でも「あいさつ」は、防犯・防災面においても効果的であると放映しておりました。又、私の住んでいるマンションでも、その番組の放映以来、マンションで挨拶する人が以前に比べ増加して挨拶が習慣化しています。
初対面でも工夫次第、例えばメディア(媒体)を使うことで「あいさつ」はスムーズに行える場合もあります。
例えば、ご本人ではなく、お連れになっているお子さんやお孫さん、犬などのペットにあいさつをすること等です。
すると意外と会話が弾んだりします。

しかし、ご自身に抵抗感があるばあいには、「無理はしない」ということが、長続きする為にも大事だという事です。そして、「共同住宅に住んでいる以上は、相互に一定の距離やスタンスの違いを理解して、その中でも仲間を作って楽しい気持ちでやった方が住みやすい。」と言う事です。
そのコツは、理事・役員・区分所有者・賃借人でも、何かを任された場合に「やらされている」と思うより、ちょっとだけ自発的に頑張ってみる事です。長い人生でも、その経験が役に立つ時がいつの日かきっと来ると思います。
仮に今回は、やらされた事であって気乗りがしなくても、そのことがお住まいのマンションで必要なことである可能性が高いと考えられることです。そして、その事をお住まいのマンションでは、維持管理や居住環境の向上の為に、おそらく誰かがやらなければならない事であるはずです。
「俺がやらずに、誰かやる??」では、・・・・です。

最後の「キーポイントを探す」です。そのキーポイントは、課題別・マンションの経年・規模・居住者の状況により、マンション毎に様々です。又、解決の為のキーマンが必要な場合もあります。
しかし、共通事項・基本事項は「思いやる心」です。
最近は政治の世界でもイソップ童話から引用して「太陽政策」との名称で政策を説明することがございます。
ただ、この太陽政策をとっても、相手次第で何の利益もなかった事例や時間と金をかけた分だけ損をしたケースもございます。
単純に太陽政策を実行するのではなく、この方法を時と場合で一ひねり工夫を凝らして試してみる範囲の事例話しです。又、北風をいくら吹かしても、コートを脱がすことはできない。お互いのいがみ合いは、疲れるだけで実利的な効果が少ない場合が多いということの参考事例です。
しかし、太陽政策には、相手次第(相手の経済状況等も含めて)となりますが、工夫次第で具体的に利用出来ることがあります。特に、滞納管理費や近隣関係のトラブル解決にも多くありそうです。

表面上は、同じことをしても相手の状況把握(滞納者の現状・対応者の準備・人間関係)や実施のタイミング(相手の状況とこころの変化)により相手の反応・対応が大きく異ることが多いのです。
成功する為には、相手の状況を一定範囲掴む努力と知らせる努力が必要で、マンションの管理組合運営の中では、そういうポイントや視点を探す事が大事だと言う事です。 それが生活環境の向上とコミュニティ形成を図れるポイントです。

マンションにコミュニティ形成が必要と痛感し、区分所有者・住民等で挨拶もろくに行われていいないマンションにお住まいの方々は、一歩踏み出してください。
まずは、ご自分のマンションで、「いつでも出来る、一人からでも出来る。」日ごろの★★
「あいさつ」の導入から始めてみてはいかがでしょう!!
「このあいさつ」が、マンションで定着する事だけでも、防災・防犯には、実際かなり有効であると言われています。


3)コミュニティの要素は?

様々な議論もありますが、コミュニティの成立に必要な基本的要件としては、次の三つを上げることができ、この三要件を旨くかみ合わせることにより活発な活動がし易く、活発なコミュニティを形成することができると言う説があります。

第一は、コミュニティに人が集まること

第二は、コミュニティを通じて社会的な共有ができること

第三は、コミュニティに対する帰属意識があること

移民社会におけるコミュニティの形成とコミュニティ・ネットワークの確立手法の一考察(高崎経済大学 経済学会 福井 千鶴 論述)」に上記が記載されていました。
http://www1.tcue.ac.jp/home1/k-gakkai/ronsyuu/ronsyuukeisai/47_4/fukui.pdf

他にも様々なご意見や考え方も多くあると思います。


管理組合活動に特に今必要であると思われる要素は、私の経験則から第三のコミュニティに対する帰属意識があること(帰属意識を形成する工夫)が大切であると思います。当然に、内容はマンション毎に様々であると思いますが、問題のある管理組合に伺うと、分譲マンションは、この帰属意識がかなり不足している)ケースが多いように思います。
管理組合が、この帰属意識と「共有・共同生活・相手への配慮」を意識したコミュニティ活動をベースに、より快適なマンションライフの実現を目指すことが大切であると思います。そして、その帰属意識やコミュニティは、つくり・継続することには努力が必要です。しかし、壊すのは簡単で一度壊すとその修復には随分と労力が必要であることも事実です。
マンション管理組合のリーダーに望まれることは、どんなにマンション外の社会でその地位・実績や実力を認められていても、居住マンションの中(共同住宅という社会:横社会ともいわれる世界)での人間力を求められ、それに応えることです。
  
現在は、あまり評価されていないマンションのコミュニティの付加価値が将来、マンションの大切な財産となると思います。中古マンションのストック及び市場への供給が増加していること。それにも拘わらず、新築マンションは多く建設、分譲されています。
今後も人口が減少することで、維持管理に多額の費用をかけて改修しても、それだけではマンションの付加価値を維持することは難しい時代となるでしょう。

これからは、マンションの利用価値が注目され、コミュニティの価値も評価対象となると思います。建物の外見や充実した設備も必要ですが、居住者がそのマンションに住み続けたい・住みよいと感じることが大切です。防犯・防災にも関係している、この付加価値の部分には、マンションの良好なコミュニティが形成されていることが不可欠です。