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建物維持管理

大規模修繕工事とは?

マンションの大規模修繕とは、共用部分である外壁や屋上などの時間経過などによる傷・欠損など性能・機能を、原状または実用上支障のない状態にまで修復及び回復させる修繕工事(大規模な)のことを意味します。
マンションは、放っておくと建物自体も設備もどんどん劣化していきます。
住民が安全で快適な暮らしを送るためにも、資産価値を維持・向上させるためにも、定期的に手入れを行い、劣化を抑えることが必要・前提となります。

マンションには不可欠な大規模修繕工事ですが、管理組合様や修繕委員会様及びオーナー様にとっては大きな労力と時間が必要となります。
面倒だからと言って委託先の管理会社に一任してしまうと、
A.工事の時期が早まったり、修繕の周期(サイクル)が短くなったりします。
B.修繕の必要もない工事まで行われてしまったりすることもあるでしょう。
C.工事見積り時よりも、必要以上に工事費を出費してしまったりもするでしょう。
その結果、区分所有者から集めた積立金を使い過ぎてしまい、その後に控えている、2回目、3回目……の工事の際に積立金が大幅に不足することも少なくありません。
10年後、20年後、更に、その先までを見据えた修繕計画を立てるためにも、ぜひ当サイトをご一読ください。

どこを修繕する?

通常、大規模修繕とは建物の周囲に外部足場を設置して行う改修工事を指し、具体的には外部足場がなければできない工事を一定範囲まとめたものを言います。
つまり、外壁・屋根・バルコニー・共用廊下などの共用部分の躯体、塗装、シーリング、防水、金物などの工事全般がそれに該当します。
マンションは様々な部位・部材で構成されており、それぞれ取替えや補修の時期は異なります。
取替えや補修の周期が重なる様に、工事をまとめて実施して、費用を削減しながら、適切にマンションを修繕しましょう。
さらに、個人所有部分(専有部分)と関連する建物内部や設備(上下水道などの配管なども)の改修も同時に行う事によって、建物の総合的なリニューアル・刷新を図る場合もあります。

つまりは、計画修繕の事です。
長期修繕計画とは、マンションの修繕する箇所、修繕周期、費用をあらかじめ長期的な視点で想定したものです。
長期修繕計画が分譲マンションで注目される経緯は、突然の資金需要が発生しても所有者が複数いて決断・合意することに困難を伴う可能性があるからです。多くの管理組合では、この部分もかなりネックとなっております。
本来は戸建でも修繕計画は必要ですし、オーナーマンションでも同様に必要です。
しかし、決断は一人で出来るので資金計画も本人の状況も考慮できるので実施計画は立てやすいことになります。

長期修繕計画は誰が作るの?(どんな視点で・誰が作る)?

1)マンション分譲時に作成されている修繕計画(案)は、・・・・・・

分譲会社が作成した長期修繕計画(案)、期間は25~30年を目安として項目設定と概算費用を示しているものが多い。
この場合注意しなくてはならないのは、分譲会社はマンションを販売しやすいように意図的に管理費、修繕積立金を安く見せかけていることが多い点です。
例えば、『駐車場料金』を管理費に充当する近年の機械式駐車場が多く、メンテナンスに多額の費用が必要になります。そこに、将来的には徴収した『駐車場料金』が必要となります。
本来は、毎月支払った駐車場料金を貯めておき、メンテナンス時や修繕や建替え時にその費用で支払うべきです。
しかし、多くの場合、管理会社に支払う管理費に充当されているのです。


このように見かけ上(区分所有者から引き去りされる管理費の金額)は管理費の支払いを抑制すれは、分譲時の販売活動を有利に展開できます。更には、毎月の管理費が割安に見えて且つ黒字になっているようにすれば、管理組合は現状には気がつきにくい点です。つまりは、管理組合が、会計上(財務上)の実態に気がつかず管理会社に対し管理費の値引き等を長期間に亘り求めなかったり、求められないようにするためには有効に働きます。
多くの場合、管理会社も分譲会社のグループ会社や関連する会社であるので、分譲マンションの販売を有利に展開する為や管理会社自身の収益確保の為に値引きを求められないような内容にしたいので、このような操作や考え方をする場合も多いようです。

2)コンピュータによる『修繕積立システム』等は・・・・・・

コンピュータによる『修繕積立システム』によりデータを入力すると大まかな長期修繕計画(案)を作ることができます。
分譲会社が長期修繕計画(案)を立てていない場合、積立金額の設定が曖昧と思われる場合は、簡易的に一度試してみるのも一手法です。
しかし、この資料はあくまでの概算の概算と考えるべきです。又、コンサルタントを雇い劣化診断、長期修繕計画を立てる場合、規模によっては数十万~数百万円が必要な場合も多くあります。(建物は個別に異り、同じものがないので個別に調査・計算して作成しなければならないからです。)

費用負担ができないような小規模なマンションにはある程度は適した方法として『財団法人マンション管理センターの修繕積立費用積立システム』などを使えば、一棟当たり3万円程度で作成することができます。
これに若干の修正、例えば修繕周期、単価に余裕を見る等を行い、簡易的な長期修繕計画(案)とすることもできます。
理想的には、事前に準備されていることが必要です。大規模修繕工事時には、これを基に今後の資金計画を考えることになります。万一ない場合には、最低でも1回目の大規模修繕工事の完了後のできるだけ早期までには準備が必要です。
長期修繕計画(案)を無料で管理組合自身が作成して全て行う事も可能ではあります。
国土交通相のガイドラインを確認しながら、項目、数値を入れていく事を行えばできないことはありません。
ただ、専門知識の少ない理事や役員では、大変な手間が掛かる上、間違えや見過ごした項目・金額があったときは、責任問題に発展してしまう場合もございます。
ただ、正式な長期修繕計画(案)を作成するには費用もかかります。
更には、専門家(コンサル等)に依頼しても完了して長期修繕計画(案)を、管理組合役員・修繕委員が受け取るだけでは意味がありません。
提出された長期修繕計画(案)のたたき台を、専門家(コンサル等)と管理組合役員等で何度も打合せして資金計画や工事の内容及び時期についても検討することが必要です。
マンションの長期修繕計画(案)を実のあるものにする為には、ある程度の費用と時間がなければ、長期的な問題を合理的に処理することはできません。
仮に長期修繕計画(案)を作成したコンサルタントが信用出来れば、管理組合は、そのコンサルタントに長期的なマンションのホームドクター的な役割を担って頂き、維持管理の費用の抑制の為に、合理的・効率的なアドバイスをコンサルタントからも得られます。
コンサルタントへの依頼は、見かけは高額に感じますが、その活用次第では大切な宝物となることも多いと思います。

3)管理会社に依頼して作成する・・・・・・・・・・

日常管理に管理会社を委託しているマンションでは管理会社が作成しているケースが多くあります。
有料の場合もあり、無料の場合もあります。無料の場合は、かなり記述が一般的で大まかな傾向にあります。
本当に大雑把な金額ですが、1戸当り1万円位の費用です。例えば70戸の場合、70万円位と考えれば大きな相違はないと思います。

4)設計事務所(コンサル等)に作成を依頼する・・・・・・

建築士はその分野の専門家です、その知識を使い、建物を診断、修理対象を特定、周期を設定するといったことを行います。
ただ、多数の建物を確認した経験とそのマンションに実際に足を運んで診断して、その建物独自の長期修繕計画(案)を作ります。一般的には、100戸当りのマンションで80万円~200万円くらいが相場と言われています。
しかし、建物の長期修繕計画(案)を実のあるものにするためには、正確な長期修繕計画(案)も必要ですが、完成品を管理組合が受け取っただけではその効果は限定的で本来の目的の半分の機能も果たせません。
長期修繕計画(案)を合理的・効率的に利用する為には、コンサルと管理組合が数回程度は打合せをして、今後の方針と資金計画及び工事内容(周期・仕様・範囲)も共に検討することが必要です。この部分(管理組合の運営と長期修繕との関係と活用方法)については、最近注目されてきている内容なので設計事務所やコンサルも多くのノウハウをもっている事業所が少ないのが現実です。
※ご依頼があれば、管理組合・マンションオーナー様の視点で業務を行う事が可能な、経験豊かなコンサルタントを当サイトでご紹介することもできます。

5)管理組合が自分たちの組織で作成する・・・・

ゼロから管理組合が独自に専門家なしに、素人のみで作り上げることは困難です。 それ故に、長期修繕計画の変更には手を付けていない管理組合も多数ございます。又、独自に作成されている管理組合の多くは、管理会社等の外部機関で作った長期修繕計画をベースにして理事・役員等が変更を加えるケースも多いようです。このケースでは、時として変更したり・工夫したりした内容に誤りを生じることも散見されます。 そこで、今ある長期修繕計画に過去の修繕履歴を基に変更や修正を一部加えることが現実的であるのではとも考えます。
この方法は、費用を節約できるのが利点で、規模の比較的小さいマンションには向いていますが作成の視点や精度に対して確信がもてないことが多いのです。
管理組合により、長期修繕計画の精度を高める為に専門家を加えつつ、専門家と一緒に創り上げていくといった方式が取られています。
これは理想的であり基本に忠実な方式ですが、費用が嵩むので今までは比較的大きなマンションにしか適用はできませんでした。
しかし、最近は計画的に修繕を実施することに対する意識が高まっています。そこで、管理組合によっては、大規模修繕のコンサル依頼時にあわせて長期修繕計画の立案・作成業務委託して、コンサルの競争入札や見積り合わせで費用を圧縮させることに成功している事例も増えているようです。
管理組合の視点や立場を盛り込んだ長期修繕計画(案)を上手に作成・活用すれば、管理組合にとって貴重な財産となります。

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では、具体的にどのようにして、『長期修繕計画』は作られているのでしょうか?

詳しくは、長期修繕計画の流れをご覧ください。

長期修繕計画の流れ

長期修繕計画、修繕積立金、大規模修繕工事、管理組合の関係
まずは、長期修繕計画を作る流れにおいて、修繕積立金、区分所有者、管理組合、分譲会社、管理会社の関係について、
簡単にお話しします。
分譲会社、俗にいうデベロッパーがマンションを建設し、分譲を開始します。
その時には、マンションの管理を行う管理会社を系列や関連の会社に決定していることが殆どで、管理組合の管理規約(案)も定められています。
マンションの一室を購入することで区分所有者(管理組合員)になり、管理組合の管理規約に合意したことになります。
そして自動的に、管理費、修繕積立金を支払う義務が発生するという流れです。
大事なことは、管理会社は分譲会社の系列や関連した会社であり、管理組合が比較検討した結果納得して選んだ会社ではないことです。
又、分譲会社が、予め作成してある管理規約等も場合により、管理組合に不利な条件になっている場合も多いという事が言われている点にも注意が必要です。
分譲会社は、
A.販売で儲けを出し、
B.系列の管理会社を通じて管理で儲けを出し、
C.日常修繕で儲けを出し、
D.大規模修繕で儲けを出し、
E.設備の更新で儲けを出す、
そして最後に
F.建て替え時にも関わり儲けを出す、
このように考えています。分譲会社とその関連企業にとっては理想的な運びとなります。
ここは、分譲時から分譲会社の企画・計画したレールの上に乗っていると上記の分譲会社とその関連企業の利益に結果として貢献することになります。
しかし、以前はこの様な路線に乗っていても、有名な分譲会社の好立地なマンションを購入することで、消費者(区分所有者)も長期的には、転売や資産価格の上昇等で利益の恩恵に与れました。
しかし、社会情勢が大幅に変化した今は、どうすべきでしょうか?
独立系や系列以外の管理会社との競合した見積もり比較で導入された場合と比べるとかなり割高な費用を請求している場合が多くあると思われます。つまり、サービスや、ものの値段は、市場価格を理解できてこそ・・・・・です。

予算を決めるのに大切なこと

まずは、上記の関係が一般的に存在していることを理解することが重要です。営利企業の立場で考えると、しごく当然とも思われる構図です。
全ての始まりは『管理組合が主導的に検討できるように、透明性と公平性を確保しつつ区分所有者を組織化すること』です。この活動が遅れることで、残念ながら管理組合内に隠れた利害関係が生じてしまい、今後の運営に支障をきたすこともあるようです。
管理組合が主導的に検討することが可能な下地があってこそ、
①外部より専門家を招く、
②専門家に何を依頼する ・・
と進めていくからです。
大規模修繕というと『業者選び』がとかく重要視されますが、まずは『管理組合』が機能するように人選、役割分担から始める必要があります。

手 順

長期修繕計画を作る一般的な手順は以下のとおりです。

長期修繕計画を作る前の準備として
A.大規模修繕工事の解説書等に担当役員等が目を通す、
B.マンション各種のセミナーに担当理事・修繕委員会等のメンバーが参加する。
C.修繕委員会や理事がぶつかった疑問は手数を惜しまず確かめること、
D.相談先を見つけておくといったことも必要です。

実行

1)理事会で長期修繕計画を作ることを決める。
2)建物の劣化診断等の依頼先を理事会及び広報で他の区分所有者にも呼びかける。
3)上記の手順を踏んで、理事会で依頼先を検討・決議する。
4)劣化診断の依頼先で長期修繕計画(案)の作成を引き受けてもらえるかを確認する。
5)管理組合の依頼方針・委託先のノウハウ・費用を確認する。
6)管理組合の費用で支払えるかを検討する。
7)依頼先が決まったら、委託契約を結ぶ(総会決議)。
8)劣化診断を依頼している事を広報等で組合員に知らせる。
9)劣化診断結果の報告を受ける。
10)長期修繕計画の作成について管理組合の希望条件、大規模修繕の周期の希望などを伝える。
11)長期修繕計画(案)ができたら、必要な費用が修繕積立金で賄えるかを確認する。
12)資金確保の可否により、管理組合の運営方針や積立金の増額などの審議となる。
13)次の大規模修繕工事に備えて、管理組合の組織を総点検する。

修繕の周期、種類

大規模修繕工事で行う箇所、その周期を設定します。
大規模修繕といえば、マンション本体の屋上防水、外壁補修、天井、床、バルコニー、鉄部の塗装などの『建築分野』が主な工事項目にはなりますが、その他に設備(給水設備・排水設備・消防・エレベーター・機械式駐車場)等長期的には必要になってきます。
経年とともに、サッシ・窓枠・外構の関連工事や改善工事も必要となります。

修繕積立金の積み立て方法等・・・・

大まかな築年ごとの修繕費用の推移の事例は以下のとおりです。
A.定額で積み立てる方法と段階的に値上げしていく段階積立方式があります。
分譲会社が現在行っているのは、段階積立方式で、初期の修繕積立金を非常に低くして、『安い!』と思わせ売りやすい様にしています。
このまま、値上げをせずに積み立てていくと必ず修繕費用が不足します。
多くの場合は、当初修繕積立金は、規模や設備にもよりますが、5000円程度に設定されていることも多いのが現実です。
B.しかし、修繕積立金を値上げせず、積立金の範囲内で大規模修繕工事を行う場合、適正な『修繕積立金の額』は管理費と同額から2倍とも言われています。
設備やマンションの規模により、管理費を大幅に上回る積立金が必要になるとも言われています。(建物の規模・設備・グレード等により異なりますが、すべてをねぐって平準化した場合に、月額15,000円程度とも言われています。)
C.更には、建物の設備内容や規模・仕様により建物毎に異なることになります。
本来修繕積立金は平準化が望ましいとのコメントもあるとすると、当初の長期修繕計画の作成時点から50年・60年を視野に入れた長期修繕計画の作成が望ましいことになります。
理想は、マンション管理組合が近視眼的にならずに、経年50年・60年後を視野にいれた長期修繕計画(案)に沿った、資金計画及び計画修繕を実施することが必要で、この視点が正しい方向性であると考えたいと思います。(建物の維持管理期間を仮に60年とすると平準化した積立金も、戸当たりの修繕積立金の必要金額も積算できないことになります。)